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奥吉野の自然がくれたいにしえの味
柿の葉寿司「とらせ」柿の葉寿司          

奥吉野・黒滝村に有る柿の葉寿司製造販売の店。8年前、休みの日になると家業の魚の行商を手伝っていたご主人が、40歳になったのを機に脱サラして開業。「奥吉野という土地を最大に活かした物を発信して行きたい」と考えた末「柿の葉寿司」の製造販売に至ったそうだ。そして郵便局の「ふるさと小包」などをメインに販売を開始。寿司に使用する魚は、長年のノウハウを活かして大阪から仕入れると言う。天然の「柿の葉」を利用している為、更に山奥の農家に車を走らせ、買い付けに出掛ける日々。

牡丹の長谷寺そして5年前、同奈良県内に有る「長谷寺」の参道の一角に店舗を構える。開いているのは春〜夏前の花の美しい季節、そして、紅葉、冬ボタンの美しい季節とお正月。

「とらせ」の朝は早い。夜も明け切らぬ未だ暗いうちから、工場での発送分と、「長谷寺店」分のご飯を、「奥吉野」で炊く。長谷のお店に着いてからでは、間に合わないのだ。そして、やはり「黒滝の水の方が美味しい」というこだわりからだ。「奥吉野の水の美味しさを楽しんで戴きたい」と、お客様にお出しするお茶用の水も、ポリタンクで何十リットルもお店に運ぶ。「ご飯」と「お水」、どちらもかなり堪える重さ。それを毎日続ける。仕事如何によっては女将さん一人で運び込む事も有るそうだ。

職業柄、お昼時がピークになる訳だが、多い時で、「長谷寺店」での注文は5000個とか。場合に依っては、「売り切れご免」という事も。寿司飯を四角に形作るのは機械の仕事だが、きっちりと綺麗に柿の葉で包むのは、人間の手でなければ無理な事。これが結構な技術を要するらしい。葉も、寿司飯に合わせて、切ったり、重ねたりと工夫する。また「長谷寺店」の従業員一同のチームワークも抜群で、女将さんを中心に、いつも和やかな雰囲気が漂っている。立ち寄ったお客様への温かいおもてなしの心、気配りが、旅人の心を癒して呉れる。

日が暮れる頃、閉店。自宅迄は車で一時間程の距離だが、同時に展開している「お土産用」「贈答用」の宅配の注文が多ければ、伝票の整理等にも追われる。「作りたてをお客様のご都合に合わせて発送する」のがポリシー。決して、その場に有る様な物を送ったりはしない。丁度、旅先から戻ってホッとした頃、「寿司を味わいながら、土産話が出来る」そんなタイミングで寿司が届く。故に、毎晩、家に辿り着くのはかなり遅くなってからだと言う。そしてそこでは、前出の魚の行商をされていた、ご主人のご両親が、温かい食事と共に、出迎えてくれる。「4人5脚」。ここではそれが当たり前。お互いが支え合っているからこそ、良い仕事が出来る。

女将さんとの出逢い

とらせロゴ私がそんな「とらせ」の女将さんと出逢ったのはゆうパックの「ふるさと小包」を通じて。贈り物に選んだ「お寿司」が手違いで、先方に届かなかった。連絡を取らせて戴くと、直ぐに調べて下さり、明らかに郵便局側のミスだと言う事が解った。でも、「2日目以降の物は品質が落ちるから」と言って、新たな物を送る手配をして下さった。決して送りっぱなしにはしない商品に対しての責任は、もちろん「食品」で有るからとも言えるが、それ以上に、仕事に対してのこだわりと自信がなせるワザ。そして、そんな風に結ばれた縁を決して忘れない素敵な女性でも有る。

その秋、何も知らずにひょっこり訪ねた「長谷寺」の麓の店で、寿司を頬張りながら「奥吉野のとらせ」との関係を尋ねた私に、件の事と、名前を覚えていて下さった女将さんは突然「円如さん?」と、私が名乗る前に尋ねて下さったのだ。旅先で、この様な偶然が有ったらどうであろう。私は驚きと嬉しさと不思議な気持ちでいっぱいになった。
まるで「椿市」で再会した源氏物語の「玉鬘」と「右近」の如く、「やっぱり長谷の観音様は霊験あらたか」と思っても何ら可笑しくは無い。

島に住む私の所に商品が届くには、最低でも3日を要する。「本当に美味しいのは2日目のものやから」と、女将さんは常々、それを残念がっている。「そやから、また、遊びに来てもらって、それを食べて欲しいわぁ」優しく明るい声が、いつも私の心を温かくする。私にとって、「とらせ」は奈良で見つけた、「また食べたい味」そして「また逢いたい人達」で有る。

柿の葉に 想いを馳せて(長谷て) 結ぶ縁

                                 円如 

ご注文・お問い合わせは 奈良県吉野郡黒滝村寺戸 0747−62−2943

「とらせ」長谷寺店

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